- 家づくりのヒント
車いす生活を支える「ドア選び」
車いす生活になって初めて気づく「開き戸」の大きな壁
私たちが普段何気なく使っている、手前や奥に押し開ける「開き戸」。
実は、車いすに乗った状態や、杖をついている状態、あるいは体に障がいがある方にとって、開き戸を開けるという行為は想像以上の「壁」になります。
なぜなら、ドアノブを回して扉を手前に引く際、車いすをバックさせて自分がドアの軌道からよけなければならないからです。
手の力が弱い方や車いすの操作に慣れていない若い方にとっても、この「開けながら避ける」という複雑な動きは、転倒のリスクを伴う重労働になってしまいます。
年齢や障がいを問わず、全員が「自分で開け閉めできる」ことの大切さ
誰の手も借りずに、自分の意志で行きたい部屋へ移動できること。
これは、シニア世代の自立した暮らしだけでなく、障がいを持つ若い世代にとっても、尊厳と心の自由を守るためにとても大切なことです。
ドア一枚の選び方次第で、家族全員が「移動のストレス」から解放され、毎日をのびのびと過ごせるようになります。
車いす配慮の建具は「引き戸」である理由

車いすを前後に動かさず、その場で開閉できる
引き戸の最大のメリットは、移動の軌道上に扉が出てこないことです。
車いすに乗ったままドアの前に近づき、その位置を一歩も動かさずに、片手で横にシャッと滑らせるだけで開閉できます。
前後の余計な切り返しが必要ないため、車いすの操作が驚くほどラクになります。
風でバタンと閉まる危険がなく、開けっ放しで「広い空間」を作れる
引き戸は、開けた状態をそのままキープできるのも強みです。
例えば、体調に合わせて部屋の換気をしたいときや、リビングと寝室をつなげて開放的なワンルームのように使いたいとき、引き戸なら開けっ放しにしておくだけで「ひとつの広い空間」を作れます。
開き戸のように突風でバタンと閉まって指を挟んだり、車いすに衝撃が加わったりする危険もありません
+αのご提案
建具の開口部の有効幅員は「750㎜以上」
カタログに書かれている「ドアの幅」と、実際に扉を開けたときに人間や車いすが通れる「有効開口寸法」は、異なる場合があります。
車いすがスムーズを通り抜けるためには、この有効開口寸法が最底でも750㎜(75cm)以上必要です。

指挟みを防ぎ、軽い力で閉まる「ソフトクローズ機能」
最近の引き戸には、扉を閉めるときに勢いよくバタンと閉まらず、手前で自動的にブレーキがかかってゆっくりと静かに閉まる「ソフトクローズ機能」が付いています。
これは、小さなお子さまの指挟み防止だけでなく、手の力が弱くドアを最後まで閉められない方にとっても非常にありがたい機能です。
構造上、引き込みスペースが足りないときは「折れ戸」の選択肢を
壁が少なくて引き戸が付けられない場所には、扉が半分に折れ曲がりながら壁側にコンパクトに収まる「折れ戸」という選択肢があります。
開き戸に比べて手前への出っ張りが半分以下に抑えられるため、車いすを大きくバックさせなくても開閉が可能です。

床にレールを付けない「上吊り式」で、車いすのガタつきとゴミ溜まりを解消
引き戸を設置する際、床にレール(溝)があると、車いすが通るたびに「ガタガタ」と振動が走り、乗っている人の体に負担がかかります。
また、レールにゴミや髪の毛が溜まると、車いすの車輪が引っかかる原因にもなります。
その不安は、天井や壁の上部から扉を吊り下げる「上吊り式の引き戸」で解消できます。
床面は完全にフラットになるため、車いすの移動はどこまでも滑らか。お掃除も格段にラクになります。

家の中の「ドア」一枚で、暮らしの自由度はここまで変わる
「ドアをどうするか」という選択は、家づくり全体で見れば小さなパーツに見えるかもしれません。
しかし、その小さなパーツの積み重ねこそが、障がいを持つ若いご家族や、これからのシニアライフを送るご夫婦の「日々の暮らしやすさ」を大きく変えていきます。
すまい生協では、お客様一人ひとりの「今の暮らし」と「未来のもしも」に寄り添い、最適な建具・間取りをご提案します。
「うちの間取りでも上吊り引き戸は付けられる?」など、気になることがあればいつでもお気軽にご相談ください。


